Kansas - Hymn from the window of the 42nd floor
Hymn from the window of the 42nd floor
kansas_logo
biography & discography





■Original
  1. Kansas(1974)
  2. Song For America(1975)
  3. Masque(1975)
  4. Leftoverture(1976)
  5. Point Of Know Return(1977)
  6. Two For The Show(1978)
  7. Monolith(1978)
  8. Audio Visions(1980)
  9. Vinyl Confession(1982)
  10. Drastic Measures(1983)
  11. Power(1986)
  12. In The Spirit Of Things(1988)
  13. Live At The Whisky(1992)
  14. Live Dust in the Wind(1992)
  15. Freaks Of Nature(1995)
  16. King Biscuit(1998)
  17. Always Never The Same(1998)
  18. Somewhere To Elsewhere(2000)
  19. Device Voice Drum(2002)
■Compilation:
  1. The Best Of Kansas(1984)
  2. Carry On(1990)
  3. Star Box(1993)
  4. 2 Compact Discs Set(1994)
  5. Definitive Collection(1997)
  6. Dust In The Wind(1997)
  7. The Best Of Kansas(1999)
■Solo:
  1. Kerry Livgren
  2. Steve Walsh
  3. Robbie Steinhardt
■その他:
  1. ブートレッグ
  2. Links
■Kansas-Biography

 70年代後期にはアメリカン・ハード・プログレなる言葉が生まれた。Kansasはその代表的なバンドである。以下は、その結成から、現在に至る主な足取りである。
 Kansasの起源はは、1970年、Phil EhartとKerry LivgrenがWhite Clover、Saratoga双方のベストメンバーで新たなバンドを結成することに合意、当時White CloverのベーシストであったDave Hopeは新バンドへ移籍し、デイヴ・ホープの提案によりバンド名が「Kansas」となったことによる。当初、ボーカル、ギター、キーボードがいずれも2名の8人編成(Phil Ehart,Lynn Meredith,Dave Hope,Kerry Livgren,Dan Wright,Larry Baker,Greg Allen,Don Montre)であったが、すぐにボーカル1名が抜け7人編成となり(8名の写真はボックスのブックレットで見ることが出来る。)、12月にニューオリンズでDoorsのオープニングを務めている。
 1971年、一度解散した後、Kerry Livgrenが新たに7人編成でKansasを結成する。一方、Phil EhartがDave HopeとWhite Cloverを再結成。その後Phil Ehartは、White Cloverを解散して3ヶ月程イギリスに渡るが、帰国し、White Cloverに専念することを決意。Phil Ehartに誘われSteve Walshがヴォーカル兼キーボードとしてWhite Cloverに加入。Phil EhartとSteve Walshは、Robby Steinhardtにテープを送りバンドに誘い、Phil Ehartが再びWhite Cloverを結成しようとしていると聴き、Plain Janeを解雇されたばかりのDave HopeとRichard Williamsがバンド加入を希望する。・・・とごたごたした出入りが続いた結果、1972年、White Cloverが再結成される。メンバーは、Phil Ehart(Dr),Steve Walsh(Vo,Key),Robby Steinhardt(Vo,Vln),Dave Hope(B),Richard Williams(G)。White Cloverは、カンサス州リベラルのスタジオでデモテープ制作。翌1973年、Phil Ehartの誘いでKerry Livgren(G,Key,Compose)がWhite Cloverに加入。アメリカ中西部で演奏活動開始する。このバンドのデモ・テープがDon Kirshnerに認められ、再び、バンドの名称を「Kansas」に変更、KIRSHNERレーベルと契約、夏、ニューヨークでファースト・アルバムを録音し、ようやくメジャーデビューとなった。
 メジャー・デビュー後のメンバーの移り変わりをカウントするとすれば、これが第1期Kansas、オリジナル・メンバーということになろう。メンバーは、Dave Hope(B),Robby Steinhardt(Vo,Vln),Richard Williams(G),Kerry Livgren(G,Key),Steve Walsh(Vo,Key),Phil Ehart(Dr)。
 1974年3月、ファースト・アルバム「Kansas」をリリース。Can I Tell YouとLonely Windシングルカット。7月ビルボード最高位174位を記録。10週間チャート・インする。キンクスのオープニングアクトとしてツアーを行い、ロスアンジェルスでセカンド・アルバムをレコーディングする。
 1975年2月「Song For America」リリース。5月ビルボード57位を記録。この成功は、FM曲による「Song For America」(アルバム・バージョン)のオンエアによるものであった。レコード会社からポップ・ヒットを書くように言われ、サードアルバムのレコーディングをルイジアナ州のボガルーサのスタジオで行い、10月「Masque」をリリース。「Masque」は、1976年2月ビルボード最高位70位を記録。20週間チャート・インする。
 同年10月「Leftoverture」、邦題永遠の序曲をリリース。本作は1977年に、ビルボード最高位5位。初のプラチナディスクとなった。シングル「Carry On Wayword Son」は最高位11位。
 1978年1月「Point Of Know Return」リリース。ビルボード最高位4位。再びプラチナディスクに。シングル「Dust In The Wind」は最高位6位。
 1979年1月「Two For The Show」リリース。ビルボード32位。7月「Monolith」リリース。ビルボード最高位10位。シングル「People Of South Wind」は23位。「Reason To Be」は52位。
 1980年3月、Steve Walshがソロ・アルバム「Schemer Dreamer」、Kerry Livgrenがソロ・アルバム「Seed Of Change」をリリース。9月「Audio Visions」リリース。11月ビルボード最高位26位。アルバムに先行して発売されたシングル「Hold On」は10月40位にとなり、この年の秋に全米ツアーを行う。
 1981年、セカンドシングル「Got To Rock On」が76位を記録。この年の秋に全米ツアーを行う。
 1982年1月バンドの方向性に関する意見の相違からSteve Walshが脱退し、John Elefante(Vo,G)が加入。Kansas初のメンバーチェンジが行われた。第2期Kansasのメンバーは、左からDave Hope(B),Kerry Livgren(G,Key),Richard Williams(G),Phil Ehart(Dr),Robby Steinhardt(Vo,Vln),John Elefante(Vo,G)。
 7月「Vinyl Confession」リリース。ビルボード最高位26位。シングル「Play The Game Tonight」は17位。「Right Away」は73位。
 1983年9月「Kirshner」レーベル消滅。CBSと契約。この頃Robby Steinhardt脱退。暫くの間、Kansasの看板の一つであったバイオリンが消えることとなる。第3期Kansasは、John Elefante(Vo,G),Phil Ehart(Dr),Dave Hope(B),Richard Williams(G),Kerry Livgren(G,Key)。このメンバーで「Drastic Measures」リリース。ビルボード最高位41位。シングル「Fight Fire With Fire」は58位。
 1984年9月「The Best Of Kansas」リリース。ビルボード最高位154位。Phil EhartとRichard Williamsが脱退。解散。
 1986年10月再結成。第4期Kansasのメンバーは、Phil Ehart(Dr),Billy Greer(B),Steve Morse(G),Steve Walsh(Vo,Key),Richard Williams(G)。再結成に伴いレコード会社をCBSからMCAに移籍している。
 1987年1月「Power」リリース。ビルボード最高位35位。All I wantedがスマッシュ・ヒット。Can't cry anymoreなどのクリップも放送される。
 1988年10月「In The Spirit Of Things」リリース。ビルボード最高位114位。この後、Steve Morseが抜けバンドは休止状態にあったものと見られるが詳細は不明である。
 1992年「Intersound」レーベルから、「Live At The Whisky」リリース。メンバーチェンジが行われており、David Ragsdaleの加入により再びヴァイオリンが復活する。第5期Kansasは、Phil Ehart(Dr),David Ragsdale(vln,G),Billy Greer(B),Richard Williams(G),Steve Walsh(Vo),Greg Robert(Key)。このライヴには、スペシャル・ゲストとしてKerry Livgrenが参加している。
 1993年、この頃CBSソニーからスター・ボックス・シリーズと称して様々なアーチストのコンピレーションCDが発売されたが、Kansasのコンピも同シリーズに含まれていた。収録範囲は仮面劇以降ドラスティック・メジャースまで。
 1994年、カーシュナー・レーベル時代の代表曲を収録した2枚組みボックス・セットが発売される。
 1995年「Freaks Of Nature」リリース。
 1998年、The London Symphony Orchestraとの共演で「Always Never The Same」リリース。第6期Kansasのメンバーは、Phil Ehart(Dr),Billy Greer(B,Vo),Robby Steinhardt(Vo,Vln),Steve Walsh(Vo,Key),Richard Williams(G)。1994年発売のボックスが、2枚組みCD(ボックスではなく普通の(笑))の状態で再発売される。
 1999年、The Best of Kansasのニューバージョン(1984年発売のアルバムの幾つかのトラックを差し替えたもの。)がリリースされる。King Biscuit Flower Hour Recordsから 1989年フィラデルフィアのタワーシアターにおけるライヴ・アルバムが発売される。スティーヴ・モーズ在籍時のライヴである。
 2000年、Somewhere to elsewhere発売、2002年、ライヴ・アルバムDevice voice drum発売。
 以下、彼らが発表したアルバムについて解説する。

■Kansas-Discography



■Kansas(1974)

収録曲 1.Can I tell you(3:32) 2.Bringing it back(3:33) 3.Lonely wind(4:16) 4.Belexes(4:23) 5.Journey from mariabronn(7:55) 6.The pilgrimage(3:42) 7.Apercu(9:43) 8.Death of mother nature suite(7:43)
1974年

 Kansasのファーストアルバム。Can I tell youやBringing it back、The pilgrimageなどアメリカの南部臭が漂う小曲、バラードのLonely wind、ひたすらハードなBelexes、大曲Journey from mariabronn、ApercuそしてDeath of mother nature suiteと幅広い楽曲が収められている。
 このアルバムを聴くと、Kansasの音楽の原形はデビュー当初から完成されていたことが良く分かる。インストルメンタル・パートに十分な力量を発揮しつつ力強いボーカル・ハーモニーも聴かせる。大曲は小曲の寄せ集めのような組曲構成ではなく、ボーカルや各楽器のパートがしっかりと計算された交響曲的なものである。特筆すべきは、Journey from mariabronnとDeath of mother nature suite(邦題は「栄光への旅路」と「母体崩壊」である。)である。Journey from mariabronnはヘッセの小説に影響を受けて作曲されたもの、Death of mother nature suiteは環境汚染を嘆く歌とのこと。motherとは文字どおり母なる大地を指す。この2曲の構築性はボーカル・パートとインストルメンタル・パートの配分、各楽器の位置付け、楽曲の展開方法等において次作以降の彼らの楽曲の基礎となっている。Kansasの楽曲とイギリスを中心とする所謂プログレッシブ・ロックのそれとの決定的な違いは、第一にボーカルパートがインストルメンタル・パートに埋もれていないこと、第二に楽曲そのものが非常にポップに纏められていること、第三に丸みを帯びた線の太いサウンドであること、第四に急速な展開を伴うにも拘わらず終始ドライブ感を失わないことである。そして更に、どの曲も、ある種Kansas特有の哀愁を帯びている。このカンサス・サウンドを決定付ける顕著な要素を一つだけ取り出して述べるとするならば、それは、ロビー・スタインハートの南部臭漂うバイオリンである。彼のスタイルは、カントリー・ミュージックのリード楽器としてのバイオリンをそのままロック・ミュージックに移行させたような線の太い力強いものだ。当該バイオリンは古典的な構築性を伴った楽曲の中で南部臭を伴ったソロ楽器としての独立性を確保している。
 このアルバムは、発売当時、セールス的には思わしくなかった。1974年7月のビルボードにおいて174位を最高に10週間チャート・インしたに過ぎなかったようである。しかし、それは、当時の聴衆の欲した音とバンドの方向性との乖離に他ならず、Kansasの構築した音楽を受け入れるべき土壌が当時なかったことを顕わす一つの事象に過ぎない。しかしながら、一方、彼らの音楽的素養、資質、作曲力、演奏力は、一聴すれば明らかな通り、当初から非常に優れたものだったのである。(1999.1)

■Song For America(1975)

収録曲 1.Down the road(3:43) 2.Song for America(9:59) 3.Lamplight symphony(8:11) 4.Lonely street(5:43) 5.The devil game(5:03) 6.Incomdro-Hymn to the atman(12:12)
1975年

 Kansas第2作。本作は小曲3曲、大曲3曲という構成をとっており、ファースト・アルバムに比べバンドの方向性がより明確になった感がある。1994年に発売されたボックスのブックレットの中で、スティーヴ・ウォルシュがファースト・アルバムについて「自己紹介のような性質のものであり様々に聴衆にアピールする一方自己の満足も得られる作品」と述べ、デイヴ・ホープがセカンド・アルバムについて「暗くクラシカルな面だけを強調したアルバム」と述べていることに顕れているように、確かにファースト・アルバムは多面的であり、Kansasに出来ることが散りばめられていた感がある一方、セカンド・アルバムでは、クラシカルな面がよりハードによりタイトに強調されていると思われる。小曲においては、彼らのルーツの一つであるサザン・ロックに見られるアーシーな感覚は、冒頭のDown the roadに留まる一方、Lonely streetではブルース感覚たっぷりのハード・ブギを聴かせ、The devil gameでは見事に構築された各楽器のバトルを聴かせる。他方、Lamplight symphonyやIncomdro-Hymn to the atmanといった大曲においては、キメのフレーズに見られる大仰さが極みに達している。映画のクライマックスで、何千年にも亘る封印が解き放たれ、閃光を背に受け、古代の王が登場する、その瞬間に流れる音楽といった感じである。しかし、これを臭いと断じてはいけない。この臭さもKansasの構築するシンフォニック・ロックの大きな特徴なのである。Kansasの音楽にのめり込むと、この大仰なフレーズに海老反って鳥肌を出し更に涎も垂れ流すことができるようになるはずである。そのくらいインパクトがあるのである。
 脱線しかかったので、元に戻るが、このアルバムのタイトル曲であるSong for Americaは、Kansasのライヴにおいても重要な位置を占める代表曲である。アメリカの荒廃への警告ともいえる歌詞を有しながら、時に軽快に時に重々しく、歌詞の展開に促して曲が進んで行く。そして、およそ10分を一気に聴かせてしまうのである。やはり、Kansasは只者ではない(愛)。
 本作は1975年5月にビルボード最高位57位を記録したが、セールス的にはまだまだであった。レコード会社はラジオ受けするポップな小曲を散りばめた作品を望んでいたようであるが、彼らはそれに反して本作を制作したことから、その後、更にレコード会社の風当たりが強くなっていたようである。ファンの目からすれば、ラジオ受けする曲が欲しければ雇って来る連中が違うだろうと言わざるを得ないし、Kansasのメンバーがレコード会社の言いなりにならなかったことに敬意を表さずにはいられない。
 そして、本作のもう一つの特徴として、Kansasのロゴ・デザインがある。このロゴは画家のピーター・ロイドの作によるものであり、以降のジャケットのほとんどに登場することとなる。
 本作とファースト・アルバムとの2枚が初めて国内発売されたのは1978年である。これは、LeftovertureとPoint of know returnの一代ブレイクによるものなのであるが、ブリティッシュ・プログレッシブの土壌は十分固まっていたと思われる我が国においては(ちょっと大仰か(笑))、あまりにも遅かったとしか言いようがない。このアルバムが国内発売される数ヶ月前、当時、貧乏高校生であった私は、学校をサボって午後4時頃からNHKのFMをエアチェックし、テープが擦り切れるほどに随分聴きまくったものである。そして発売と同時に、すってんてんになって2枚纏めて購入させて頂いた。このようなことから、Kansasのファーストとそして本作song for Americaは、以来、我が家の家宝である(病)。当時のお気に入りは、Incomdro-Hymn to the atmanであった。今になって改めて聴くとちょっと演歌臭いしムーグも稚拙な気がしないでもないが、当時は、完璧にハマりきっていたものである。Hymn to the atmanは直訳、超自我への祈りであり、邦題は宇宙への祈りである。ブックレットによれば東洋哲学の探求がテーマであるらしい。(1999.1)

■Masque(1975)

収録曲 1.I's takes woman's love (to make a man)(3:07) 2.Two cents worth(3:07) 3.Icarus-Borne on wings of steel(6:03) 4.All the world(7:10) 5.Child of innocence(4:34) 6.It's you(2:34) 7.Mysteries and mayhem(4:20) 8.The pinnacle(9:36)
1975年

 3作目のマスク、邦題「仮面劇」は、アレンジがややシンプルになり、全体にギターのオーバードライブが耳につく仕上がりとなっている。そして、レコード会社の指示でシングル・ヒットを狙って作曲されたとされるI's takes woman's love (to make a man) が収められている。唯一シングルカットされたがヒットはしなかった。サックスの陳腐なソロが入っているなど、初期の作品の中でも特に異様である。歌詞が異常に馬鹿げていることもこの曲の特徴である。きっと、スティーヴ・ウォルシュにもそれなりの思惑があったに違いない。
 さて、馬鹿な話しは置いておくとして、このアルバムに収められた他の作品に目を移してみると、これは実に素晴らしいものばかりなのである。ABBAのEagleのようなポップさにスピード感溢れる展開が融合した名曲Icarus-Borne on wings of steelをはじめ、ボーカル・ハーモニーと強烈な変拍子とギターのリフが印象的なAll the world(この曲は、GenesisのUnquiet slumbers for the sleepers....in that quiet earthを彷彿とさせる。)、リフとキメそしてブレイクが鮮やかなChild of innocence、狂暴極まりないフレーズの展開が見事なまでにスリリングなMysteries and mayhemと挙げればきりがない。そして、何よりの極め付けは終曲9分強に及ぶThe pinnacle(邦題:尖塔)である。この曲からは、これまで彼らが見せてきた密度の濃いオーケストレーションから、比較的音の隙間を多くして、しかもその分、楽曲そのものの構成が練り込まれたという印象を受ける。そして、そのメロディーラインについて言えば、彼ら特有の哀愁あるいは叙情性が極みに達している。シンプルであり物語性があり且つ訴えるところの多い歌詞も良い。
 Kansasの楽曲のうち、オーケストレイションを多用するドラマチックな曲の殆どすべてはKerry Livgrenの筆によるものである。彼はドラスティック・メジャースまでKansasに在籍し、以降も曲を提供しつづけている。ドラムス・ベース・ギター・キーボード・バイオリン・ボーカルという基本的なバンドの構成がマルチ・プレイヤーであるKerry Livgrenの存在により、変幻自在なツイン・ギター或いはツイン・キーボードとなり、インストルメンタルに幅を持たせているのである。かかる多才振りの中でも取り分け彼の作曲能力には目をみはるものがある。
 さて、最後にチャートに触れておくと、本作は、ビルボード最高位70位(1976年2月)であり、売り上げ25万枚であり、セールスとしては過去のアルバムとほぼ同様であったようである。・・・なお、断っておくが、チャートに関する話題はただの参考情報である。売れるアルバムがよいといっている訳ではない。昨今の糞のようなラップや同じく糞のようなオルタナやまたまた同じく糞のようなハウスが本作のような素晴らしく気品の高い音楽的素養に溢れかつ眩いばかりに光を放っているアルバムと比較されるべき域に達していることはあろうはずもないのであるから・・・・。(1999.1)

■Leftoverture(1976)

収録曲 1.Carry on wayword son(5:23) 2.The wall(4:48) 3.What's on my mind(3:28) 4.Miracles out of nowhere(6:27) 5.Opus insert(4:27) 6.Questions of my childhood(3:36) 7.Cheyenne anthem(6:52) 8.Magnum opus(8:25) a.Father Padilla meets the perfect gnat b.Howling at the moon c.Man overboard d.Industry on parade e.Release the beavers f.Gnat attack
1976年

 Kansas第4作。デイヴ・マクマッケンによるサルバドール・ダリの絵画を彷彿とさせる思索的ジャケットから漂ってくる雰囲気そのままに、収録された曲の全てが異常な迄の完成度を見せる傑作である。邦題は「永遠の序曲」。全体にハード・ロック色が前面に押し出されてきたもののプログレッシブ色は絶妙なバランスにより曲の中に昇華されている。
 本作が発売されたころから、カンサス等の音楽はアメリカン・ハード・プログレというカテゴライズをされるようになった。他にイーソス、スターキャッスル、スティックス、ボストン、一時期はジャーニーまでもかかるカテゴリーに入っていた。スターキャッスルはイギリスのプログレッシブ・ロック(特にイエス)の影響が前面に出過ぎているしスティックスらのプログレッシヴ色は風味として感じられ程度であることから、言葉どおりアメリカン・ハード・プログレという言葉が適切に当てはまるのはKansasとイーソスくらいであろうと思われる。
 さて、本作は、楽曲においてもアルバム全体の構成においても非常に練り込まれたものである。例えば、冒頭のCarry on wayword son(邦題:伝承)。Carry on my wayword sonで始まる印象的なア・カペラのコーラスだけで急速にKansasの描く世界に引きずり込まれてしまうのであるが、コーラスが終わるや否や曲はハードに展開し、続くボーカルパートではピアノのアルペジオをバックに再び切々と歌い上げられる。このような静と動を巧みに操るアレンジによって曲が進行して行く。アルバム全体のバランスも同様に2曲目のThe wallは静、続くWhat's on my mindは動という構成をとっているのである。
 収録曲について特筆するとすれば、Miracles out of nowhere(邦題:奇跡)とCheyenne anthem(邦題:黙示録)である。イントロ、ボーカル・パート、中間部のインストルメンタル・パート、そしてエンディングに至るまで、寸分の隙もない見事なプログレッシヴ・ロックである。過去のすべて国のすべてのアーチストのすべての音源の中でただ1曲を選ぶとすれば、間違いなくこのいずれかを選ぶというくらい思い込みを強く出来るそういう曲である。
 ボックスに添付のブックレットにはいくつかの裏話が紹介されている。一つは、Carry on wayword sonは、当初収録の予定がなかったということ。信じられない話しであるが、ケリー・リブグレンがリハーサルを終える直前にメンバーに聴かせた曲にア・カペラのパートをつけてみたところアルバムの冒頭に収録することに決まったらしい。・・・・ちょっと成功秘話っぽい作り話のような気がしないでもないが、まぁ信じることにしよう。それから、Magnum opusの原曲名はLeftovertureであった。スティーヴ・ウォルシュとケリー・リヴグレンが書いた曲の断片(使わなかった曲の断片)を繋ぎあわせた作品であったからである。デイヴ・ホープがleftovertureをアルバムのタイトルにしようと言い出し、ウォーリー・ゴールドがMagnum opusという曲名を思いついた途端にアルバム名が確定したということである。確かに、ファーザー・パディラと完全なる蚋の対面であるとか月に吠えるといった各パートのタイトルの関連性が発売当時から今一つふに落ちなかったがやっと納得できたような気がする。
 Kansasは本作の成功により、一躍スターダムにのし上った。冒頭のCarry on wayword sonがAM曲でブレイク。1977年4月にビルボードで11位を記録した。アルバムの売り上げも77年1月25日に50万枚(ゴールド)、3月15日に100万枚(プラチナ)、6月に200万枚、現在では300万枚を超えるといわれている。因みに過去のアルバムのセールスは、1stが10万枚、2ndと3rdが25万枚であった。
 Kansasのカヴァーはあまり見かけないが、珍しく本作のCarry on wayword sonのカヴァーは時折り目にする。有名どころでは、Dream theater/A change of seasonsの最後に収録されているThe big medley、Yngwie Malmsteen/Inspirationの1曲目である。Dream theaterの方はそのまんまなのであるが、Yngwie Malmsteenの方は笑ってしまう(冷)。蛇足ながらYngwieさんのこのアルバムには、In the dead of nightやAnthemも収録されており、プログレ・ファンには笑いが止まらない内容である(冷)。(1999.1)

■Point Of Know Return(1977)

収録曲 1.Point of know return(3:14) 2.Paradox(3:50) 3.The spider(2:03) 4.Portrait(he knew)(4:39) 5.Closet chronicles(6:30) 6.Lightning's hand(4:24) 7.Dust in the wind(3:28) 8.Sparks of the tempest(4:18) 9.Nobody's home(4:39) 10.Hopelessly human(7:09)
1977年

 Song for AmericaでKansasの決定的なロゴをデザインし、同アルバムのカヴァーも描いた画家ピーター・ロイドにより、本アルバムのカヴァーは描かれ、帰らずの海の果てで落ち行く帆船のイメージは、その後、The Best of Kansas、King Biscuitなどにも描かれたようにKansasを象徴するものとなった。邦題は「暗黒への曳航」である。  このアルバムは、アルバムチャートの4位まで上り詰め、400万枚の売り上げを記録したKansas最大のヒットアルバムである。前作までに比し各曲がよりポップに或いは聴感上普通(笑)のハードロックにより近くなった一方、対旋律や随所に配置された装飾音がより緻密になり曲そのものの管弦楽的効果が高められている。アルバム全体の楽曲の配置は、AB面ともに最初はより普通(笑)のもの後半はよりぷろぐれ色の強いものという構成である。思わずAB面と書いてしまったが、この時代、まだCDは発明されていなかった(すごいジジイ的表現)。記憶では、Power辺りがLPとCDとの転換時期である。そのようなわけで、当時は、A面のどの位置にどういう指向の曲を置いて、最後をどう締め、B面冒頭には勢いのいい曲を持ってきて途中にバラードを1曲挟み、最後は大仰な大曲で締める・・・みたいなアルバム全体の構成がとられていたのである。最近のCDもそうなのかもしれないが、AB面で40分程度であったLP時代に比べ随分冗長になってきたように思える(またまたジジイ発言!)。まぁ、いずれにしろ、このアルバムは、そういったLP時代のアルバム全体の構成を捉えてみても、特に秀逸な1枚であると断言できる。そればかりか、内容の異なる全10曲を包み込む不思議な整合感、オルガン、ムーグ、ピアノ、バイオリン、ブライトなギターの音色などが醸し出す重厚荘厳な響きにより、一種コンセプトアルバムかとも思えるほどの一体感がある上に、一方、それぞれの楽曲にも強い個性があるのである。最もヒットチャートで上位に昇ったのはDust in the wind。この曲は、これまでのkansasからすれば異色とも思えるアコースティックギターのアルペジオをバックにしたバラードである。もともとはケリー・リヴグレンがフィンガリングの練習用に書いた曲であり彼は当初kansasには合わないと考えていたとのことであるが、淡々としたトーンとその歌詞、中間部の切ないバイオリンのソロにより、アルバム全体を占める緻密なトーンの中で一際繊細に響き心を打つものとなった。4曲目の神秘の肖像は、ケリー・リヴグレン自身の言葉によればアインシュタインを歌ったものだとのことである。当時は、というか、この話しをボックスの解説で読むまでは全く気づかなかったが、そう言われて歌詞を眺めてみると全くそのとおりだ(笑)。極めて緻密且つ重厚なオーケストレイションが施された曲としては、5曲目の孤独な物語、終曲の望みなき未来が挙げられる。孤独な物語については、現題「クロゼット・クロニクルス」を名乗るファンクラブ?が当時結成されていたほどである(今でもあるんだろうか?)。オルガンをバックに切々と歌い上げられるハワード・ヒューズの物語、神話の世界を描いた映画のクライマックスでも見るような厳めしい中間部等々非常に重みのある曲である。また、望みなき未来については、冒頭からいきなり、とてもロックバンドの演奏とは思えない重圧な管弦楽的アンサンブルなのである。これを聴かされると、もう他に比較すべきバンドなど存在しないというしかない。このアルバムに収録された楽曲はどの曲のどのフレーズ一つを捉えようと永遠の美を湛えている。不自然なトリックなど皆無であるし、奇妙な前衛性など論外である。ひたすらにポップなのだ。イエス、クリムゾン、ジェネシス、フロイドさへ何だという気持ちにさせられるくらいに楽曲の構成力といい演奏力といい完璧過ぎるほどに完璧なのである。このように、Point of know returnは、プログレッシヴ・ロック史上最高の唯一無二のアルバムである。賛美の言葉をいくら重ねても語り尽くせないのだが、さらに言えば、上記ロイド氏のカバー・アートが一層本アルバムの音楽への思い入れを増幅させてくれるのである。一般にぷろぐれのアルバム、特にシンフォニックロックのカヴァーにはシュール・リアリスティックな絵画が用いられるが、このアルバムもその典型であり、かつ、それが最も成功した一枚であるといえよう。古代の地球儀或いは水晶玉の様な球体、地球が球体であるということに相反しその中に映し出される帰らずの海と落ち行く帆船、当該球体を取り巻くドラゴン。表ジャケットでは黄金に輝く雲の中から、裏面では暗紫色の水面から小銀河のような波紋を作り姿を現すドラゴン。裏面のドラゴンが取り囲む、本アルバム以降、レコード盤の中央に貼付されたレーベル・シールのデザインにもなった偶像。どの絵画も想像を限りなく増幅させるに余りあるものばかりであるが、実はこれだけではない。アルバムに封入された歌詞カード(CDでは(ナイス・プライスでなければ(笑))アルバムカバーを折り返すと現れる)には、テーブルに広げられた古代地図と書物、望遠鏡、それから航海に用いるあの器具(何て名前だっけ)などが描かれている。そして、歌詞は当該書物に記載され、メンバーや製作スタッフの名前は書物の脇に無造作に置かれた紙片に、また他方の紙片にはメンバーの顔がデッサンされているという凝りようなのである。このように、Point of know returnは、収録曲に限らず隅から隅まで練りに練り凝りに凝ったアルバムなのだ。タイトルまでもそうである。Box添付の解説によれば、Point of know returnのknowは、アルバムタイトルを印象付けるための言葉遊びだそうである。 ロック全般を見渡してみたときに1977年前後には重要なアルバムが数多く発売されている。Led Zeppelin/Sound track from the film The song remains the same,Boston/Boston,Rainbow/Rising,Scorpions/Virgin Killerなどである。Kansasの作り上げた本アルバムは、これらストレートな音作りがなされた大ヒットアルバムと時期を同じくするものであり、しかも、これら大物アーチストに全くひけを取ることなく、実に堂々と力強く清々しい音作りがなされている。 (1999.2)

■Two For The Show(1978)

収録曲 1.Song for America(7:31) 2.Point of know return(3:07) 3.Paradox(4:07) 4.Icarus-borne on wings of steel(5:55) 5.Portrait(he knew)(5:19) 6.Carry on wayword son(4:37) 7.Journey fron mariabronn(8:54) 8.Dust in the wind (Acoustic guitar solo)(6:18) 9.(Piano solo) Lonely wind(4:29) 10.Mysteries and mayhem(4:00) 11.Excerpt from Lamplight symphony(2:39) 12.The wall(4:52) 13.Closet chronicles(6:43) 14.Magnum opus(11:19)
1978年

 本作は、1977年から1978年までのツアーの模様を収めた、Kansas全盛期のライヴ・アルバムである。ファースト・アルバムから暗黒への曳航に至るまでのベスト選曲集であり、スティックのカウントに始まり異常なテンションを保ち、次々と畳み込むように演奏される。アコースティックギターとバイオリンの絡みが鮮やかに編曲された銀翼のイカルス、神秘の肖像と伝承のメドレー、バイオリンのソロパートが追加された栄光への旅路、神秘と混乱からランプライト・シンフォニーを挟み壁に至るメドレー、アコースティック・ギター・ソロとピアノ・ソロを伴うバラードの名曲、すべては風の中にと寂しき風、終曲、鬼気迫る迫力の超大作と実に巧みに構成されている。2枚組みながら寸分の隙がない。一気に聴かせる。
 CD化により、孤独な物語がカットされたのが残念である。CDには収録時間の制約でカットした旨のコメントが付けられてはいるが、何とか2枚組みで再発してほしいものだ。
 アルバムのカヴァー・アートはノーマン・ロックウェルの作品のパロディーながら、なかなかハマっている。いい雰囲気だ。アルバムの邦題は「偉大なる聴衆へ」。この邦題の由来は終曲のエンディングに収録されているMCである。気が付かなかった人は注意深く聴いてみようね。
 このアルバムの思い出の一つに対訳の話しがある。当時発売される国内盤には、今程には対訳がつけられていなかったように思う。ホントはそんなことはないのかもしれないが、兎に角、Kansasのファーストとセカンドが同時発売された時には、いずれも対訳なしだったのだ。それで、このライヴを買った時に、ソング・フォー・アメリカと栄光への旅路の対訳を目にして、なんだか当時すごくラッキーな気分だったのである。やはり、折角、国内盤を買うのであれば対訳はあるに越したことはない。次に、MCの話し。最近のライヴ・アルバムでは、あまり目にすることがないが、当時は、ちゃんとMCも歌詞カードに載っていたのである。ZepのIn between...ってやつも然りである。蠍屋さんのKonbanwa, Ogenki desukaは付いてなかったけど(笑)。いいライヴにはMCも書き込まれている・・・なんて法則は成り立たないかなぁ。(1999.3)

■Monolith(1978)

収録曲 1.On the other side(6:25) 2.People of the south wind(3:39) 3.Angels have fallen(6:39) 4.How my soul cries out for you(5:45) 5.A glimpse of home(6:36) 6.Away from you(4:25) 7.Stay out of trouble(4:14) 8.Reason to be(3:51)
1979年

 ファースト・アルバムの時期からそもそも完成の域にあったKansasのサウンドは、アルバムを発表するに連れ徐々に円熟味を増していき、ついに前作暗黒への曳航において上り詰めるところまで上り詰めたようである。本作は、前作のテンションに比べてみれば、やや、リラックスした感がある。音自体もやや丸みを帯び、ポップス色が若干強まっている。シングル・ヒットを狙ったに違いないディスコ・ビートを取り入れた幻の風は当時かなりショッキングなチューンであった。曲自体は非常に良くできており、中間部のギター・ソロなんか抜群にカッコいいのだけれど、さすがに、今改めて聴きなおしてみると、当時のチャートが思い出されて気恥ずかしかったりもする。落ちてきた天使や故郷への追想は、ポップス色が支配する本アルバムの中でも、かなり練られたオーケストレーションが聴ける大曲であるが、これらの曲においても、エッジの立ったギターのカッティングの使い方など更にロック色を強めてきていると認められる。ステイ・アウト・オブ・トラブルにみられるブギにおいても初期の南部臭はかなり影を潜め洗練された印象となっている。キメの一つ一つが実にカッコいい。Kansasサウンドのタイトな部分が全面に押し出されてきたアルバムといった印象である。
 このアルバムの思いでの一つとして、見開きジャケットが挙げられる。当時、どういうわけか、1枚もののアルバムが見開きジャケットで発売される確立というか度数というかがめっきり少なくなった時期であったように思う。そんな中、見開きで発売されるというし、前作暗黒への曳航のジャケットそして歌詞カードの凝り様は他に比較すべきものがないほどであったので、発売前から期待度は募る一方であり、見開きの内側を彩るイラストや写真の数々に思いを馳せ過ぎたのが誤りであった。期待と現物を比較してみると、期待度のほうが数百パーセント上回っていたのである。まぁ、内容がそれなりにイケてるからいいじゃん・・・という気がしないでもないが、装丁の方も、もうちょい凝ってほしかったようにも思う。 (1999.3)

■Audio Visions(1980)

収録曲 1.Relentress(4:56) 2.Anything for you(3:58) 3.Hold on(3:53) 4.Loner(2:30) 5.Curtain of iron(6:12) 6.Got to rock on(3:21) 7.Don't open your eyes(4:05) 8.No one together(6:58) 9.No room for a stranger(3:00) 10.Back door(4:23)
1980年

 スティーヴ・ウォルシュとケリー・リヴグレンそれぞれのソロ・アルバムを経て製作されたこのアルバムは、Kansas全盛期のテンションの名残が感じられる最後のアルバムである。小曲のみで構成されている。アルバム全体としては若干散漫な印象をもつが、収録された各曲の水準は非常に高い。
 中身にはあとで触れるが、このアルバムで何よりも驚いたのはジャケット・デザインである。個人的には「過去のアルバムデザイン全体からみたアンバランス」というよりも「醜悪さ」さへ感じたのであるが、前作までの神秘に彩られた一貫性を取り払い、信じられないジャケットになってしまったものだ・・・と思った。Webringのアイコンとなっているのが皮肉に思うのだが・・・。内ジャケに落雷の絵があるが、そちらの方が、より、Kansasのジャケットらしいとさえ思ったほどである。Kansasの音楽そのものと並んでアート・ワークにも入れ込んでいた一ファンとしては、カヴァー・アート作者、その他諸々の関係者の感性を疑わざるを得なかった。どうなってんねん・・・というやつである。
 さて、曲の方、冒頭のリレントレスは、これぞKansasとでもいうべき迫力に満ちた曲である。伝承タイプであり、中間部のキメまくりのオキマリ・インスト・パターンと、そこから3連で主題に復帰するあたりの流れは流石というしかない。しかし、続く2曲がバラードであったのにはちょっとビックリであった。すべては風の中にが思いのほか売れたからかどうなのか、まぁ、曲は水準に難なく達しているのであるが、面白みがあるかといえば・・・ない。若干の大曲指向が感じられるのは鉄のカーテンとバック・ドアである。 小曲の中ではノー・ルーム・フォー・ア・ストレンジャー。アルバム全体の中では地味な曲なのかもしれないが、前作のステイ・アウト・オブ・トラブルと同様の位置関係にあり、しかも、静と道に明確に2分されたアレンジの妙、演奏の瞬発力に、Kansasはまだまだイケるじゃないか・・・という希望を感じたのであった。 (1999.3)

■Vinyl Confession(1982)

収録曲 1.Play the game tonight(3:26) 2.Right away(4:06) 3.Fair exchange(5:01) 4.Chaising shadows(3:20) 5.Diamond and pearls(4:50) 6.Face it(4:17) 7.Windows(3:32) 8.Borderline(4:00) 9.Play on(3:32) 10.Crossfire(6:35)
1982年

 不動であったKansasに、ついにメンバーチェンジの時期が訪れた。このアルバムからスティーヴ・ウォルシュが抜けたのである。ウォルシュのポップス指向とメンバーの現状維持指向との確執が原因であると報じられている。リード・ヴォーカリストであり、キーボード奏者であるウォルシュの代役は、声質の近いジョン・エレファンテであった。第2期Kansasの誕生である。しかし、彼の声質は高音域にスティーヴ・ウォルシュほどの丸みがなく、喉を絞っているような苦しさがある。
 楽曲の質はなんなく水準を超えておりメロディーも分かりやすいのだが、耳に残るかどうかという点においては少し弱いと思われる。シングルであるプレイ・ザ・ゲーム・トゥナイトのフェード・アウト振りや、ダイヤモンド・アンド・パールの実験振りについても方向性は理解できるのだが、面白いとは言い難い。Kansasサウンドを残しつつも新たな何かをサウンドに取り込もうとする点について、若干方向性を見失ったのではないかと思えるのである。このようなことから、個人的なこのアルバムの評価は辛目である。しかし、ケリー・リヴグレンの筆によるB面の数曲、特に終曲のクロスファイアーは往年のKansasサウンドが聴ける佳曲であると思う。
 また、作曲能力においてジョン・エレファンテ氏への期待を覗かせたのがチェイシング・シャドウズである。何物にも代えがたい美しいメロディーラインがそこに存在したのである。現状路線を保持しつつ、いくつかの実験が試みられたこのアルバムにおいて、唯一次作への期待を秘めた光であった。 (1999.3)

■Drastic Measures(1983)

収録曲 1.Fight fire with fire(3:40) 2.Everybody's my friend(4:09) 3.Mainstream(6:36) 4.Andi(4:15) 5.Going throu the motions(5:43) 6.Get rich(3:43) 7.Don't take your love away(3:44) 8.End of the age(4:33) 9.Incident on a bridge(5:37)
1983年

 確かに思い切った手段である。ついに、ロビー・スタインハートが抜け、Kansasの看板の一つであったバイオリンがなくなったのだ。南部臭どころか人間臭がなくなりKansasはこのアルバムで機械のような音作りになってしまった。Closet Chroniclesを演じた彼らがハロー、ハローと歌ってしまってはいけない。スティーヴ・ウォルシュが抜けたときに、何故、彼らは、ロビー・スタインハートに歌わせなかったのだろうかという疑問がこのアルバムの感想のすべてである。
 しかしながら、このアルバムにも一条の光はある。ゴーイング・スルー・ザ・モーションズである。永遠の序曲における挿入曲のような印象の曲である。しかし、この作者がケリー・リヴグレンではなくジョン・エレファンテであるところが皮肉である。 (1999.3)

■Power(1986)

収録曲 1.Silhouettes in disguise(4:26) 2.Power(4:25) 3.All I wanted(3:20) 4.Secret service(4:42) 5.We're not alone anymore(4:16) 6.Musicatto(3:30) 7.Taking in the view(3:06) 8.Three pretenders(3:50) 9.Tomb 19(3:46) 10.Can't cry anymore(4:01)
1986年

 Kansasは、前作から2年あまりの休養を経て本アルバムを発表した。レコード会社をEpicからMCAに移籍し、メンバーも、Phil Ehart(Dr),Steve Morse(G),Richard Williams(G),Billy Greer(B,Vo),Steve Walsh(Vo,Key)に代わり第4期Kansasとでもいうべき布陣となった。
 このアルバムの音は、アルバムのタイトルやカヴァー・アートが指し示すとおり、力に満ちたものである。過去の栄光を払拭し全く新たなサウンドを構築している。この原動力がスティーブ・モーズの加入によるものであることは一目瞭然である。彼は、かつてドレッグスにおいて、ロック、カントリー、フュージョンを股にかけた多彩なミクスチャーミュージックを演奏していたが、Kansasの中では取分けトリッキー且つメタリックなプレイを前面に押し出している。そのようなわけで、アルバム・パワーの音は、非常にソリッド且つタイトである。冒頭のシルエッツ・イン・ディスガイズのリフ一つ聴くだけでそれは明らかだ。1986年という時期からすれば、本作品は、音楽全体のシーンがハード・プログレからメタル・プログレへ向かう過渡的作品あるいは先鋭的作品であったように思う。
 とは言うものの、アルバム全体をメタリックな曲ばかりが支配しているかといえばそうではない。楚々とした中に秘めた力を感じさせるタイトル曲パワー、シングル・チャートを一気に上昇したバラード、オール・アイ・ウォンテッド、イエス或いはラッシュを彷彿とさせるインストルメンタル、ミュジカット、アコースティックなバッキングに少年合唱団まで登場するテイキング・イン・ザ・ビュー、ロンドン・フィルを起用したキャント・クライ・エニモアなど起伏に富んだ仕上がりとなっているのである。Kansas復活の確かな手応えが感じられた。
 さて、当時は、大物アーチストの再結成或いは再浮上が盛んな時期であった。ランDMCとのジョイントで復活したエアロスミス、仮面を脱いで復活したキッス、パーマーがパウエルになって復活したELPといったところである。パープルがハウス・オブ・ブルーライトを出したのもこの頃だっただろうか?まぁ、いずれにしろ、Kansasもこのような時期に復活を遂げることが出来たわけである。目出度し、目出度し。 (1999.4)

■In The Spirit Of Things(1988)

収録曲 1.Ghosts(4:18) 2.One big sky(5:17) 3.Inside of me(4:42) 4.One man,one heart(4:20) 5.House on fire(4:42) 6.Once in a lifetime(4:14) 7.Stand beside me(3:28) 8.I counted on love(3:33) 9.The preacher(4:18) 10.Rainmaker(6:44) 11.T.O.Witcher(1:39) 12.Bells of Saint James(5:39)
1988年

 Kansas featuring Steve Morseとも言うべき前作は、極端にスティーヴ・モーズのプレイを強調した仕上がりとなっていたが、本作In The Spirit Of Thingsにおいて彼のプレイはバンドの一部として抑制されている。アルバム全体を通して受ける印象はAORにより近づいた音作りになってきているということである。スティーヴ・モーズの破天荒なプレイに期待しまくりで本作を購入したギター・キッズは少々残念だっただろうし、そんなことを他人事のように書いている私自身もこの点についてはかなり残念だった。今からソロってところでフェード・アウトという曲が何曲あったことか。しかしながら、モーズ氏への思い入れを置いといてちょっとだけ冷静に聴くとどうだろう。It Bites辺りの方法論に近いプログレッシヴ・ポップ・ロックとでも称すべき音作りがなされていることが分かる。どの曲も小曲ながら、サビが実に練られており、耳に残るのである。逆に、唯1曲だけ妙に仰々しいレインメーカーは浮いてしまった感じがする。
 このように、このアルバムは初期のKansasの作品群とは全く趣きを異にするアルバムである。しかし、一方、1988年においてKansasが新たな方向性を提示した、しかも、素晴らしい仕上がりのアルバムなのである。 (1999.4)

■Live At The Whisky(1992)

収録曲 1.Introduction(1:04) 2.Howlin' at the moon from Magnum opus(1:31) 3.Paradox(4:11) 4.Point of know return(4:44) 5.Song for America(8:57) 6.The wall(6:07) 7.Hold on(4:18) 8.Dust in the wind(3:52) 9.Miracles out of nowhere(6:30) 10.Mysteries and mayhem(4:54) 11.Portrait(5:45) 12.Carry on wayword son(6:51) 13.Down the road(5:51) (One take,Live at the whisky,Losangels,California,April 5,1992.) 14.Bonus track:Lonely street(6:28)(Live at the Agora Ballroom,Cleveland,Ohio,1975)

 In The Spirit Of Thingsの発売から4年が過ぎていた。その間、Kansasの消息は一向に届かず、誰もが、Kansasは自然消滅したのではないか、などと考えていた。当時は、現在のようにInternetなど普及していなかったし、情報源はテレビ、ラジオ、雑誌等に限られていたからだ。その様な中、某パソ通隔離室に某女史の書き込みがあった。タワーでKansasの新譜を発見したという情報だったのである。その翌日、たまたま川崎方面に仕事で出かけることができたので(^^ゞ、午後ちょっと休憩し(^^ゞ、タワーでゲットさせていただいた。
 スティーヴ・モーズが抜けて見事にメンバーチェンジした上にIntersoundというインディーズからの発売ということもあって、若干不安ではあったが、往年のヒット曲のオンパレードということで、期待度は180%であった。第5期Kansasとでも称すべき(今度系図を作るね(^。^))メンバーは、Phil Ehart(Dr),Steve Walsh(Vo),David Ragsdale(Vln,G),Billy Greer(B),Greg Robert(Key),Richard Williams(G)という6人編成である。そして更に、ジェフ・グリックスマンがプロデュースに返り咲いているのである。
 録音は、1992年4月5日カリフォルニアでの一発録りである。
 このライヴ・アルバムには何よりのプレゼントが仕掛けられている。ケリー・リヴグレンがスペシャル・ゲストとして出演しているのだ。どこで登場したかは注意深くMCを聴くと分かる。
 スティーヴ・ウォルシュのボーカルに高音の伸びが若干減退したかなと思えるところはあるものの、これぞKansasという選曲には、もう参りましたとしか言いようがない。1992年において、この選曲がリアルタイムで聴けること自体を喜ばなければならない。
 まぁ、いずれにしろKansasは、もといた場所に一歩近づいたのである。振り返ればジョン・エレファンテやスティーヴ・モーズをフロントに使った一時期はゆっくりと消え失せて行く夢のようなものである。 (1999.4)

■Live Dust in the Wind(1992)

収録曲 1.Point of know return(4:44) 2.Dust in the wind(3:52) 3.Lonely street(6:28) 4.Song for America(8:57) 5.Carry on wayword son(6:51) 6.Hold on(4:18) 7.Miracles out of nowhere(6:30) 8.The wall(6:07) 9.Paradox(4:11) 10.Down the road(5:51)
1992年 EMI licensed from Intersound

 1997年に何故かEMIから発売されたライヴ盤。しかし、何と、その実態は、Live at the whiskyからIntroduction、Howlin' at the moon from Magnum opus、Mysteries and mayhem、Portraitを外して、残りの曲を並べ替えただけの極めてお粗末なもの。今回、各方面でOut of stockとなっているので、コレクター・アイテムとして入手だけさせてもらったが、とにかく散々なものだ。Live at the whiskyとの同一性だけ耳で確認させて頂いたので、もう二度と回すことはないだろう。アマゾンにも失望したとのファンのコメントが多数掲載されている。レコード会社はファンをなめてはいけない。収録曲がカンサスもどきバンドの音じゃなくて、正しくカンサスのものだったことに免じて最低得点の3点! (2000.1)

■Freaks Of Nature(1995)

収録曲 1.I can fly(5:21) 2.Desperate times(5:25) 3.Hope once again(4:34) 4.Black fathom 4(5:55) 5.Under the knife(4:54) 6.Need(3:59) 7.Freaks of nature(4:05) 8.Cold gray morning(4:14) 9.Peaceful and warm(4:14)
1995年

 これは、1988年のIn The Spirit Of Things以降現在までに唯一発表されたスタジオ録音アルバムである。このアルバムは全体が一種独特のトーンに支配されている。オーバードライブが程よく抑制されたギターの音色、一音一音の粒立ちのよいベース、今や新旧を繋ぐKansasサウンドらしさの要とも言えるドラムス、伸びやかで整ったバイオリン、絞り出すようなボーカルなどなどにより醸し出された枯れた味わいとでもいったものだろうか。曲に一聴してぱっとのみこめるほどのポップさはないが、聴き込めば、どの曲も比較的分かりやすいボーカルラインを有していることがわかる。そして、いずれもコンパクトに纏められていながら、頻繁に展開する上に、各所によく練られたフレーズが配されている。外した曲は皆無である。重ねて聴けば聴くほどに味の出てくる、そういうアルバムだ。冒頭のI can flyや4曲目のBlack fathom 4などは全盛期の楽曲を彷彿とさせる構成力を持っている。また、Needに見られるフィル・イーハートのドラミングでは、割と一本気な叩き方をする人なのかなぁと思っていたのにちょっとだけ凝った一面を見せられたように思った。このアルバムの特徴として、アルバム全体でデヴィッド・ラグズデイルのヴァイオリンが大きな役割を果たしている点が挙げられる。彼のヴァイオリンはリフやソロにおいて異常な瞬発力を見せる一方、ロングトーンを実に優美に演じ分けている。メンバーの演奏について技巧的に見ればこのアルバムはKasnsasの全アルバム中最高位に位置するのではないかと思う。曲はその殆どをウォルシュとラグズデイルが書き、ただ1曲Cold gray morningにリヴグレンの名前が見られる。Cold gray morningを支配する大仰なキメフレーズでは、しばらくリヴグレン氏自身のソロ・ワークでは見られなかった、昔懐かしい部分を聴くことが出来た。
 余談であるが、このアルバムを聴いてカーヴド・エアを想起させられた人はいないだろうか。終曲Peaceful and warmで美しさが極みに達するエンディングの展開が、It happend today的であるからだけなのかもしれないけど。思い過ごしかなっ?それと、タイトル曲ってちょっとだけHush(笑)。Peaceful and warmの導入部のアコースティック・ギターの感じも何かなんだけど、ちょっと思い出せない。
 まぁ、いずれにしても、本アルバムFreaks Of Natureは、Point of know return以降の作品の中では、疑いなく一押しのアルバムである。 (1999.4)

■King Biscuit(1998)

収録曲 1.MagnumOpus(2:12) 2.OneBigSky(6:11) 3.Paradox(4:11) 4.Point Of Know Return(5:16) 5.The Wall(6:04) 6.All I Wanted(5:29) 7.T.O.Witcher(1:42) 8.Dust In The Wind(4:27) 9.Miracles OutOf Nowhere(6:47) 10.The Preacher(4:57) 11.House On Fire(12:12) 12.Carry On Way Ward Son(6:26)
1989年録音 1998年発売

 カンサスのライヴ音源が発売された・・・と思ったら、1989年フィラデルフィアのタワー・シアターでのライヴ。イン・ザ・スピリット・オフ・シングズ発売の後のライヴである。1989年タワー・シアターと聴くと、ヲタクな人々はブートのダウン・ザ・ロードがすぐに思い浮かぶ筈である。実際さすがに曲の並び具合までほとんど同じであったが、まぁ、逆に、フラワー・ビスケット発売のお陰で、ダウン・ザ・ロードの由緒正しさが確認されたわけでもある。さて、この時期のカンサスは、バイオリンが不在であった。カンサスは、ケリー・リヴグレンが抜け、ロビー・スタインハートが抜け、ジョン・エレファンテが入って抜け・・・と、存続しているのか解散したのかよく解らない時期にあったが、突如、スティーヴ・モーズが加入、パワーでメタリックでソリッドに変身して復活した。そして、続く新生カンサス第2段のイン・ザ・スピリット・オフ・シングズが発売されたのである。〜スピリット〜は、若干大人びた控えめな中に円熟味を見せるようなサウンドであって、スティーヴ・モーズに期待しまくりであった当時の私としては、ギターのフェードアウト等にやや拍子抜けしてしまったが、それでも、繰り返しよく聴いたものである。・・・話しが長くなったが、キング・ビスケットは、まぁ、こういう時期のライヴ・アルバムということなのである。この時期のライヴとなると、パラドックスやポイント・オブ・ノー・リターン等バイオリンのパートをどのように演奏するのかという興味が湧くところであるが、何のことはない、単に鍵盤でカヴァーしているだけだった。ちょっと残念。本当は、個人的にはモーズさんにもうちょっと暴れまわって欲しかったのである。モーズ氏自身は過去の楽曲に敬意を表してか割と控えめであった。一方、ワン・ビッグ・スカイなどでは、思いっきり弾きまくってくれていて気持ちよいし、ギターソロで始まるハウス・オン・ファイアーなんかは背筋ゾク・ゾクものであった。こうしてみると、スティーブ・モーズ時代の音を求めるならば、本当は、シルエット・イン・ディスガイズとかスリー・プリテンダーとかアルバム、パワーの時期のライヴが聴いてみたいものである。ELPやクリムゾンみたいにどんどん昔のライヴを出してくれないものだろうか。・・・従来のカンサスのギター・サウンドは割と古めかしいブルージーでアーシーなものであったが、彼の音は、一変してメタリックでトリッキーな音なのである。つまり、カンサス内部の音の変化は、70年代ロックから80年代ロックへの移行そのものだったのである。しかし、このキング・ビスケット・ライヴでは、過去の曲とモーズ時代の曲とが完全に2分されている。前記のとおり、過去の曲は過去の曲なりに、新たな曲は新たな曲なりに演奏されているからである。過去の曲については、もっと大胆にアレンジして欲しかったような気もするが、10年前の音源について今更どうこういっても始まらない。そのような訳で、私たちは、過去の記録の一つとして、大事に聴かせて頂くしかないのである。さて、思い入れ等を横に置いてこの音源を素直に聴くとどうかといえば、これは、非常に良いのである。録音もしっかりとしているし、音の分離も良く、それぞれの楽器の音がぐんぐん前に出ているところが気持ち良い。冒頭の超大作、月に吠えるののパートが終わるやいなや、いきなりワン・ピッグ・スカイのリフが刻まれるあたりや、すかさずパラドックスが始まるあたりなどなかなか曲の繋ぎがスリリングに計算されている。伝承も冒頭のコーラスから入り、ライブらしく異常にしつこいエンディングになっているところなどもラシイ構成がとられていて心憎いばかりである。 (1999.1)

■Always Never The Same(1998)

収録曲 1.Eleanor Rigby(3:20) 2.Dust in the wind(4:00) 3.Preamble(3:25) 4.Song for America(9:13) 5.In your eyes(4:29) 6.Miracles out of nowhere(6:26) 7.Hold on(4:16) 8.The sky is falling(7:50) 9.Cheyenne anthem(7:29) 10.Prelude & introduction(4:53) 11.The wall(5:29) 12.Need to know(3:59) 13.Nobody's home(6:01)
1998年

 フリークス・オブ・ネイチュアから3年、遂に新譜が届けられた。途中、ベスト・アルバムの発売はあったものの、やはり、ファンにしてみると3年間はあまりにも長過ぎる。国内盤の発売が遅れるというのもライヴ・アット・ウィスキー以来の特徴となってしまったが、今回も4ヶ月遅れである。その上、今回は、オーケストラとの共演である。ちょっと恐い。「オケとバンドの共演にろくなものなし」という経験則に基づく揺るぎ無い思い込みがあるからなのだ。そのような中、恐る恐る入手して聴かせていただいた。
 最初、特別レヴューを書こうと思いたったときには、興奮のあまり手放しでベタ誉めしまくってやろうと思ったのだけれど、やっぱり、ちょっと真面目に評価しようかと思う。まず、オーケストラとバンドとのバランス感覚。これは、他のオケものが足元にも及ばないくらい素晴らしい。他のオケものが水面すれすれの地べたを這いずり回っているとすれば、カンサスのオールウエイズ・ネヴァー・ザ・セイムは遥か1万メートル彼方上空といった感がある。何故か。カンサスの楽曲はそもそも、そのオーケストレイションにおいて他を圧倒していたからなのである。他の見せ掛けだけ、例えば、ストリングスのパートの代わりにオケを置いてみたり、インタールード程度にオケを使ってバンドのパートとの間に極めて致命的な落差を作ってしまったバンドの数々とは基本的に方法論が異なっていたのだ。このようなことは最初から解っていたことなのであるが、カンサスの楽曲は、そもそもがシンフォニックだったのである。還元すれば、他のバンドがシンフォニック・フレイヴァーであるのに対し、カンサスはシンフォニックそのものだったのである。まさに、シンフォニック・ロックという言葉は、カンサスそのものを表すにこそ相応しい言葉だったのである。そして、このアルバムは、そのことを、あらためて我々ファンの前に提示してくれたのだ。
 オケとの融合について見るときに、音の薄いダスト・イン・ザ・ウインドやホールド・オンは想像の範囲内で解り易いのだけれども、ソング・フォー・アメリカ、奇跡、黙示録の3曲のハマり具合には特筆すべきものがある。特に、本アルバムでは、黙示録の冒頭からの自然な流れに耳を奪われた。オーケストラ・アレンジを担当したラリー・ベアードがカンサスの楽曲をよく理解していたのだろう。構成においては完璧である。演奏面では、ソング・フォー・アメリカをはじめ変拍子や急速な展開を要する楽曲の各所で、オケとバンドの間に若干のもたりが見られるし、ソロ・パートとテーマの間の音量差が今一つしっくり行っていないと感じられる場面も少なくない。しかし、3年間、いやカンサスがデビューして以来の長年にわたる思い入れとを秤にかければ、思い入れの方が重いに決まっているのである。・・・口を半開きにして目を細め、半ばトリップ状態のまま、70分強を一気に聴いてしまった。往年のベスト選曲からくる安堵感も半ばあるものの、バンドがオケに埋もれることなく終始バンドとして機能していることを確認したときに口元から乾いた笑いがもれてしまった。デビューから28年を経て今尚カンサスは健在だったのである。
 さて、今回、メンバーにロビー・スタインハートの名前が見られる。やはり、カンサスのサウンドには彼のバイオリンは必須である。音が整い過ぎていたり軽すぎたりしてはいけないからである。こうなると、次回の新譜にどうしても期待がつのる。デイブ・ホープさんとケリー・リヴグレンさんが揃えば黄金期復活となるところであるが、そう上手くファンの期待が実現されるはずはないだろう。けれども、ケリー・リヴグレンさんの場合は、タイムラインやワン・オブ・セベラル・ポッシブル・ミュージックスあたりの小品、そしてウイスキーへのゲスト参加やフリークスへの楽曲の提供などで健在ぶりは分かっているし、そろそろ、戻ってきて一代シンフォニック関係をお願いできまへんやろか、という感じはやはり持たざるを得ないのである。ファンはグラウンド・ゼロを待ち続けているのだ(・・・ちょっと臭いか?)。(1999.1)

■Somewhere To Elsewhere(2000)

収録曲 1.Icalus II(7:17) 2.When the world was young(5:50) 3.Grand fun alley(4:38) 4.The coming dawn(Thanatopsis) (5:44) 5.Myriad(8:55) 6.Look at the time(5:37) 7.Disappearing skin tight blues(7:02) 8.Distant Vision(8:48) 9.Byzantium(4:15) 10.Not man big(8:39) 11.Geodesic Dome -Seclet track(1:24)
2000年

 ファン積年の鬱憤を払拭する超大作ついに登場!ケリー・リヴグレンも復帰,哀愁のサウンドが蘇る珠玉の一枚!・・・ってな具合の鳴り物入りの1枚。・・・ケリー・リヴグレンがKansasを去ってからどのくらいになるのだろう・・・と数えてみると,20年近くにもなる。・・・まぁ,振り返ってみれば,彼等の全盛期には,私なんぞは,まだラジカセでエアチェックしてるガキんちょだったわけだから,それから現在までの歳月の重さというのは,往年のKansasファンにとっては,それぞれの人生の重さそのものであったりする訳だ。過去から現在にいたるまでKansas命みたいな一途な方もおられるかもしれないし,私みたいに,Monolith以降,アルバムが発売されるたびに一喜一憂,徐々にKansas離れ度を強くしていった人たちも多いことだろう。初期の大仰な大曲群に心惹かれていた所謂プログレ寄りのファンを納得させた曲は,A glimpse of homeが最後ではなかっただろうかと思う。彼らは,Kansas・ミュージックのポップ化,そして,何より,ケリー・リヴグレンがKansasを去ったことがKansasが好みの音楽を作ってくれない原因だと考え,そして,ケリー・リヴグレンのKansasへの復帰を切望し続けていた。グループ又はそのメンバーの音楽感の変遷を認めないことは,ファンとして実に身勝手だとは分かっていても,そこはなかなか割り切れるものではないのだ。このあたりのファン心理は,大御所ジミーペイジがポール・ロジャース,デビカバ,プラントを経て,ブラック・クロウズとZepツアーを繰り広げていることからも容易に窺われるところだろう。
 どうでもいい前置きは横に置いとくことにして,兎に角,2000年,Kansasは,オリジナル・メンバーで復活した。ビリーグリアー(b,vo)が入っていて,デイヴ・ホープがあまりベースを弾いていないという噂もあるが,まぁ,いい。ちゃんと,歌詞カードにお顔も載ってるしね。歌詞カードのお顔の話しをすると,スティーヴ・ウォルシュは顎鬚を蓄え何だかグレムリンに登場する謎の中国爺さんみたいな風貌になってるけど,その他のメンバーは,その昔から比較してもたいした違和感はない。それなりの年輪が顎周りと髪に感じられる程度だ。
さて,次は本題のアルバム全体を通じた音のお話し。作曲は,何と,全曲ケリー・リヴグレン。プロデュースは,ケリー,フィル,リッチーの3人が担当している。水準は難なくクリアしている。アルバムの出来としては,前作フリーク・オブ・ネイチュアとはりといったところだろう。第一印象は,素晴らしいが,これは,アルバム冒頭のピアノの音によるレトリックだ。アルバム全体を通した印象は,悪くは無いが,頭でっかちの若干尻すぼみ気味といったところ。印象に残る楽曲とそうでない楽曲とに分かれる。大作は良いが他はそこそこといったところだ。
 本作におけるケリー・リヴグレンの位置付けは前述の通り極めて重要である。そこで,ファンとしての期待と現実の小考察を・・・。本作においてケリーの作り出した楽曲は,哀愁を帯びた曲調と白玉和音を多用するオーケストレーションが昔ながらであるものの,アレンジでは,過去の楽曲のような3部構成的単純明快さは影を潜め,どちらかといえば,コラージュ的で複雑な,ややもするとゴリ押し的な展開が目立ってきている。また,演奏では,作為的なものなのか,ケリー自身のピアノとオルガンに,聴衆に時代を20年遡行させるような昔懐かしい響きが感じられるものの,ドラムス,ベース,ギターの音は,マグナカルタ・レーベル特有のテクニカル・メタル系の硬質なものとなっている。即ち,録音上のバンドとしての音質は明らか変貌しているのだが,このあたりのアンバランスさ加減は,コートニー・パインのヒス・ノイズとDJを伴ったコルトレーン譲りのテナーなんかのバランス感覚と時代の遡行感がなんだか似ているように,悪くない・・・と思う。しかし,きっと,往年のファンの間では賛否両論が巻き起こることだろう。Kansasが大仰なオーケストレーションを取り戻した点は大きなプラスであるが,一方,楽曲の明解さが薄れた点が大きなマイナスであることは否めないからである。先に,コラージュという言葉を用いたが,本作の各曲には,部分的に印象的なフレーズが登場するものの,それがどこまで耳に残るものか疑問が残る。イカルスのコード進行,カミング・ドーンのヴォーカル・ラインのほかに第一印象で耳に残るものは・・・。
 ここで,改めて,ケリー・リヴグレンの作曲センスとアレンジにおけるオーケストレーションの手法について過去のアルバムを振り返ってみると,コード進行,各楽器の配置,音の重ね方など,Song for Americaがその完成形であり,そこから先に出ていないことがよく解る。本アルバムの中にも,何度となく,かかるフレーズの展開形が登場する。すると,聴けば聴くほどに,手放しで誉めることが出来ないほどに,求めていたはずのフレーズが耳についてくるから不思議だ。
 アルバムの構成は,演奏時間を見ると一目瞭然だ。Icalus II,Myriad,Distant Vision,Not man bigの大曲4つと歌ものという構成だ。異色なByzantiumは置いておくとして・・・。
 発売から2カ月が過ぎた。ここに来て,やっと,かなり分析的にカンサスの音楽と活動が振り返られるくらい冷静になれたような感じがする。このアルバムは,期待を100%満たしてくれたかどうかなんていう秤にかけさえしなければ良いアルバムであることは間違いないのだけれど・・・,70年代からすれば,現在の音楽シーンは,宗教的集団催眠的な盛り上がりが薄れた代わりに,オーディエンスの耳が格段によくなり,しかも,特に若いミュージシャンの技巧が飛躍的にアップしている。このような中,オーディエンスの嗜好もさることながら,Kansas自体の指向も時を経て移り変っているということだ。そういう意味では,このアルバムにおいてKansasは,古のファンに対する感謝の気持ちを散りばめつつも,しかし,新しい方向性を提示していることは間違いがない。それを受け入れるかどうかは,オーディエンスが個々に判断すればよいことだ。(2000.9)

■Device Voice Drum(2002)

工事中

■Compilation

The Best Of Kansas(1984)

収録曲 (1984年盤) 1.Carry on wayword son(5:23) 2.Point of know return(3:11) 3.Fight fire with fire(3:41) 4.Dust in the wind(3:25) 5.Song for America(9:08) 6.Perfect lover(4:18) 7.Hold on(3:52) 8.No one together(6:57) 9.Play the game tonight(3:27) 10.The wall(4:51)
(1999年盤) 1.Carry on wayword son(5:23) 2.Point of know return(3:11) 3.Fight fire with fire(3:41) 4.Dust in the wind(3:25) 5.Song for America(9:08) 6.Hold on(3:52) 7.No one together(6:57) 8.Play the game tonight(3:27) 9.The wall(4:51) 10.The pinnacle(9:35) 11.The devil game(5:04) 12.Closet chronicles(6:55)

 私は、ベスト盤というのがどうも好きになれない。このアルバムにも未発表曲パーフェクト・ラヴァーがただ1曲収められているが、このためだけにアルバムを買う意味がどれほどのものなのかということである。伝承と壁はリマスターとのことであるが原盤のテイクとどれほどの違いがあるのか。その上、これが実は名実ともにベストではないことは、後のライヴやボックスが証明しているのである。もし、あなたが、はじめてKansasを聴こうとしてベストをチョイスしたいのであれば、このアルバムではなくTwo for the showを買うべきである。
 なお、90年代に入ってこれと同ジャケットで米盤が出ているが、これには、パーフェクト・ラヴァーの代わりに尖塔、邪悪なゲーム、そして孤独な物語のライヴ・テイクが収められている。孤独な物語のテイクはLPの時代にライヴ・アルバムTwo for the showに収録されていたものである。いずれにしろ、他のアルバムと重複していないのは、パーフェクト・ラヴァーか孤独な物語かであり、この1曲のためのアルバムであることは間違いがない。マニア向けである。
 さて、ベスト盤はこのほかにも、CBSソニーのスターボックス、などがあるが、いずれもジャケットが極めていい加減だし、選曲も何かしら作為的である。怪しくてしょうがない。ベストは、アーチストやレコード会社じゃなくて、偉大な聴衆が決めるものだ。 (1999.8)

■Carry On(1990)

■Star Box(1993)

収録曲 1.Carry on wayword son(5:22) 2.People of the south wind(3:40) 3.Point of know return(3:11) 4.Play on(3:32) 5.Closet chronicles(6:30) 6.The wall(4:51) 7.Play the game tonight(3:27) 8.On the other side(6:25) 9.Dust in the wind(3:29) 10.Child of innocence(4:34) 11.Diamonds and pearls(4:50) 12.Fight fire with fire(3:41) 13.Portrait (he knew)(4:33) 14.Hold on(3:53) 15.Magnum opus(8:24)
1993年発売

 Star Boxは、当時、Sonyが版権を持っていたRockアーチストのコンピレーション・シリーズである。発売は当然日本国内である。黒地にアーチストの写真を貼るという統一されたカヴァー・デザインで販売された。山野のページを見ると、今でも売られているようであるから凄い(^^ゞKansasのCDの国内販売はドラスティック・メジャースまでをSonyが行っていたことから、それ以前のアルバムから曲がセレクトされているのは当然であるが、このアルバムでは初期の極めて重要な2作品を外し、且つ、ケリーリブグレンにオリジナル・カンサスから完全に変貌したと言わしめたヴィニール・コンフェッション以降の2作品に比重を置いて選曲されていることが特徴的である。果たして、このアルバムは、1993年の発売時点において、Kansasの輝かしい遍歴を正しく評価・反映したものなのだろうか。オリジナル・トラックは収録されていないので、完全にコレクター向けアイテムである。 (1999.10)

■2 Compact Discs Set(1994)

収録曲 (Disc One) 1.Can I tell you(demo)(4:20) 2.Death of mother nature suite(Live)(9:00) 3.Journy from mariabronn(7:58) 4.Song for America(10:01) 5.The devil game(5:04) 6.Incomudro-Hymn to the atman(Live)(16:09) 7.Child of innocence(4:35) 8.Icarus-Borne on wings of steel(6:03) 9.Mysteries and mayhem(4:20) 10.The pinnacle(9:36) (Disc two) 1.Carry on wayword son(5:23) 2.The wall(4:48) 3.What's on my mind(3:27) 4.Opus insert(4:25) 5.Magnum opus(8:24) 6.Point of know return(3:12) 7.Portrait(He knew)(4:33) 8.Dust in the wind(3:28) 9.Closet chronicles(6:31) 10.People of the south wind(3:40) 11.On the other side(Live)(6:43) 12.A glimpse of home(6:35) 13.Relentress(4:56) 14.Loner(2:30) 15.Hold on(3:53) 16.Wheels(New recording)(4:32)
1994年

 1994年、突如として2枚組みボックスが発売された。イエスやクリムゾン、ELPにタンジェリン・ドリームまでこの時期に集中してボックスが発売されているが、そんな中にあって、実にお買い得な一箱(笑)であった。カーシュナー・レーベル時代、即ちオリジナルメンバーによるKansas全盛期の音源のセレクトである。
 選曲は申し分ないが、それ以上に、貴重なのが、1972年にドン・カーシュナー宛てに送られたデモ音源、キャン・アイ・テル・ユーが収められていることである。ファースト・アルバムに収められたテイクと聴き比べてみよう。デビュー前にあって既に完成された演奏力を有していたことが一聴瞭然(?)である。この他にも、デビュー直前1973年カンザスシティー・カウタウン・ダンスホールにおける母体崩壊のライヴ、1975年オハイオ州クリーヴランドにおける宇宙への祈りのライヴ、1979年ミズーリ州スプリングフィールドにおけるオン・ジ・アザー・サイドのライヴが収められており、初期のカンサス・ファンには外せない内容となっている。母体崩壊の演奏はかなり粗削りながら、スタジオ録音では押さえられがちなデイブ・ホープのベースラインが手に取るようによく出ているほか、中間部に登場するハモンドの高速なパッセージの確かさなどなど聴き所が多い。また、宇宙への祈りについては、当時以降現在に至る様々な音楽のフィルターを通してみた時に、中間部のアナログシンセのラインが若干冗長或いは陳腐に聞こえがちであるところ、このライヴでは、微妙な強弱をつけて演奏されていることにより、よりクオリティーの高いものとなっている。しかも、フィル・イーハートのドラム・ソロもかなりパワー・アップされている。彼のソロはさすがに70年代のロックのソロだけあって荒さは目立つが、楽曲の中にあってテーマを再現するためのメロディーを導き出す方法としてはなかなか面白い構成だと思う。カンサスを離れていいドラムスのソロが聴きたければ、余談ながら私の一押しは、ステップス/スモーキン・イン・ザ・ピットのノット・エチオピアにおけるスティーヴ・ガッドのソロ、ベニー・ウォレス/ライヴ・アット・ザ・パブリックシアターのブロードサイドにおけるダニー・リッチモンドのソロである。
 もう一つのこのボックスの売りは、終曲として未発表の「ホイール」が収められていることである。この曲はケリー・リヴグレンとスティーヴ・ウォルシュの合作であり、特に歌詞がよい。初期のカンサスらしき思慮深さがみられるのである。この曲はライナーによればケリー・リヴグレンのソロのために91年に作曲されたものであり、デヴィッド・ラグズデイルのヴァイオリンを加えて新たに録音されたものとのことである。1994年すなわち、ウイスキー・ア・ゴー・ゴーにおけるライヴと次作フリークス・オブ・ネーチャーとの狭間にあるということを念頭に前後のアルバムと聞き比べるとこの曲の位置付けがよく分かるような気がする。しかし、一方、初期のボックスに収められた当時の曲からみれば、若干浮いた感じの仕上がりであることは否めない。サビが少々ムーディーに流れ過ぎているからである。つまり、他の曲とテンションにずれがあるのである。
 それから、このボックスについて書き落とせないことがあと二つある。一つは、ブックレットに掲載された数多くの写真である。これはカンサスのファンクラブの協力によるものとのこと。もう一つは、詳細なカンサスの歴史が綴られたライナー・ノーツである。これは、ケリー・B・オブライエン氏とアラン・V・マイケルズ氏の著によるもの。このライナーは、このサイトをつらつらと書き連ねるに当たり随分参考にさせて頂いたし、何点かこのライナーから引用させて頂いてもいる。
 さて、このボックスのベスト・アルバムとしての完成度はどうかといえば、これは実によい(^。^)。たまたま、私自身の趣味と合致しただけなのかもしれないが、本当に押さえるところを押さえているのだ。私自身の好みを聴かれれば、このボックスに収められている曲であると答えてもいいくらいの選曲なのである。
 最近になって、このボックスと同選曲、同ジャケットの2枚組みアルバムが出た。こちらは未チェックのため何とも言えないが。上記ライナーや写真などは封入されているのだろうか?どなたか情報くださいね。 (1999.4)

■Definitive Collection(1997)

収録曲 1.Point of know return(3:11) 2.Carry on wayword son(5:22) 3.What's on my mind(3:28) 4.Icarus-borne on wings of steel(6:04) 5.Song for America(7:04) 6.The wall-live(4:51) 7.People of south wind(3:39) 8.Hold on(3:53) 9.Fight fire with fire(3:40) 10.Play the game tonight(3:26) 11.Tomb 19(3:46) 12.Stand beside me(3:28) 13.Hope once again(4:33) 14.Got to rock on(3:20) 15.Reason to be(3:50) 16.It takes a woman's love(to make a man)(3:06) 17.Lonely wind(4:17) 18.Dust in the wind(3:29)
Extra-CD: 1.Wheels(4:31) 2.Perfect lover(4:19) 3.Incomdro-hymn to the atman(16:08) 4.Portrait(he knew)(Singke edit)(3:45) 5.Can I tell you(demo)(4:20)
1997年

 シングル中心のコンピ物としては一番であると言う意味でディフィニティヴなのかもしれないが、Kansasの音楽を集大成したものとして、最も信頼できる決定的なものかどうかというと、これは極めて怪しいと言わざるを得ない。何だか良く分からない選曲がなされた一枚である。ディフィニティヴ・コレクションはソニー・ミュージックが発売した傘下アーチストのコレクション・シリーズのようである。コレクションのカタログを見たわけではないが、ウチにはニナ・ハーゲンのディフィニティヴ・コレクションもあるので、きっと、そうに違いないのである。ジャケットは、いずれも、既成のジャケットのつぎはぎである。
 実は、このCDの魅力は、エクストラCDにある。ボックスに収録された、新録のホイールズ、宇宙への祈りのライヴ音源、キャン・アイ・テル・ユーのデモ、The best of Kansas1984盤に収録され1999年盤からはカットされたパーフェクト・ラヴァーが収録されている上に、他のCDには収録されていない、ポートレイトのシングル・エディットが収録されているのである。
 普通、こういうコンピ物、しかも、シリーズ物を買うのは、日頃、音楽をそれほど真剣に聴いていない、富裕族のオヤジやババァだと信じきっていたのだが、このCDは、コレクターにとってもちょっとだけそそられるところがありそうに思えるので面白い。 (1999.10)

■Dust In The Wind(1997)

収録曲 1.Dust in the wind(3:29) 2.Closet chronicles(6:30) 3.Carry on wayword son(5:22) 4.Fight fire with fire(3:40) 5.End of the age(4:33) 6.Bringing it back(3:33) 7.Death of mother nature suite(7:43) 8.Can I tell you(3:31) 9.Journey from mariabronn(7:55) 10.Going through the motions(5:43) 11:Got to rock on(3:20) 12.Magnum opus(8:24) 13.No room for a stranger(3:00) 14.Paradox(3:50)
1997年

 Sony music(Germany)distributed by KIOSKという珍品ながら、入手先は池袋Waveなので、そこそこ出回っているのだろうと思われる。
 このCDの特徴は、選曲の偏りである。1stから4曲、Leftovertureから2曲、Point of know returnから3曲、Audiovisionから2曲、Drastic Measuresから3曲という構成であり、選曲者の嗜好が露呈されたものとなっているが、悪くない・・・と思う。 (1999.10)

■Bootleg

■Down The Road/Bootleg

収録曲 1.Magnum Opus(2:09) 2.One Big Sky(6:11) 3.Paradox(4:28) 4.Point Of Know Return(5:40) 5.The Wall(6:09) 6.All I Wanted(4:46) 7.Dust In The Wind(4:44) 8.Miracles Out Of Nowhere(7:40) 9.The Preacher(4:06) 10.Carry On Way Ward Son(6:23) 11.Play the game tonight(3:45) 12.Portrait(4:19) 13.Down the road(6:20)
1991年

 1991年発売のブート。ライン録りがなされており、明らかに流出音源である。・・・と思ったら、キングビスケット・ショーを録音したものであったようだ。1曲目から10曲目までは、スティーヴ・モーズ在籍時のタワーシアターにおけるライヴ(1989年)である。1998年発売の正規盤kbfhと聴き比べてみるとよい。本ブートの方は、若干音によれがある点を除いては、聞き苦しい点は無い。録音のバランスは、正規盤に比べると、リード楽器に比重が移っており、リズム楽器が若干抑え目である。
 このブートでお徳な点は、11曲目から13曲目まで、ジョン・エレファンテ在籍時のオマハでのライヴ音源(1982年)が含まれていることである。冒頭に、「オマハ」とMCが入っているのでオマハに間違い無い。3曲中、特に、Vinyl Confessionでフェード・アウトされてちょっと気持ち悪かったPlay the game tonightが、きちんと終わってくれているので素晴らしい(^^ゞポートレイトもこれを入れると、スティーヴ・ウォルシュ版、ジョン・エレファンテ版、ウォーレン・ハム版と聞き比べられるので楽しい(^^ゞ
 それから、このブート、10曲目までと、その後の3曲とに脈略は無いのだが、終局、Down the roadの最後がライヴのエンディングらしく、Magnam Opusに展開し、Two for the showに見られるような緊迫感のあるMCが入って強力なテンションを保って終了する。アルバムとして、イントロとエンディングが対になっているという点は、ただの偶然かもしれないが非常に美しい仕上がりである。・・・こうして見ると、なかなか、センスのあるブートだ。 (1999.10)

■The Nautical Almanac/Bootleg

収録曲
1 Incomdoro-hymn to the atman(intro)-Hopelessly Human 2 Point Of Know Return 3 Paradox 4 Icarus Borne on wings of steel 5 Child Of Innocence 6 Closet Chronicles 7 Dust In The Wind-Accoustic Guitar Solo 8 Piano Solo-Lonely Wind 9 Cheyenne Anthem 10 Miracles Out Of Nowhere 11 Drum Solo-The Spider 12 Portrait 13 sparks of the tempest 14 New year count down-carry On My Wayward Son 15 Down The Road 16 Violin Solo 17 Magnum Opus.
2000年

 2000年発売の2枚組みブート。オーディエンス録音ながらいい出来だ。1977年の大晦日から1978年1月1日にかけてロング・ビーチ・アリーナで行われたニュー・イヤーのカウントダウン・ライブの模様が手にとるように伝わってくる素晴らしいアルバムだ。1977年というとPoint Of Know Returnが発売された年であり,Kansasの全盛期中の全盛期である。それだけに,昨今のニューレコーディング物にはないパッションが詰まっている。
 このブートはプレス数が400,日本製で,うち50枚が輸出された模様。手元にはドイツから届いた(インターネットってワールド・ワイドだなぁ,と実感させられる。)。
 皆さんも,機会があったら聴いてみて下さい。なかなかよいですよ。 (1999.10)

■Links Official Kansas Websiteカンサスの公式ページ!1999年末に遂に誕生!(under-construction)
Official Kerry Livgren Homepageケリー・リヴグレンのページ!ケリー・リヴグレンのソロ活動状況が判るほか、インディペンデント・レーベルNUMAVOXから発売されたアルバムを購入することが出来る。